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2008/02/24

ヘイト船長とラヴ航海士

Hate_love
ヘイト船長とラヴ航海士 鈴木慶一

17年前の前ソロ作『SUZUKI白書』を未だに愛聴しているぼくなので、当然この新譜には飛びつきましたっ。

今作のプロデューサーは元サニーデイ・サービスの曽我部恵一。実はなにを隠そうぼくはこの曽我部恵一がとても苦手だったりします・・・(^^; サニーデイ・サービスの『東京』ほか何枚かのアルバムとシングルは聴いたのですが、申し訳ないけど、なんかツボが違うんだよなあ、という印象。なんつーか、作品だけでなく、「下北沢活動」なんかでも「東京」の捉え方が上京組である彼と東京生まれのぼくとではどーにも合わない気がして、更に年が近い(一学年違い)ということもあり近親憎悪にも近い感情が沸いてしまうんですよねえ。まあ、とはいえぼくにしてみれば箸にも棒にもひっかからない数多の日本語ロック・バンドなんかよりも、それなりに真剣に対峙する価値があると感じたバンド、ミュージシャンだったからこその思いがあるわけで、決して全否定しているわけではありません。
と、曽我部恵一に関して長々と書いてても先に進まないな。ただやっぱりこの曽我部恵一の起用がこの作品の一つのトピックであることは間違い無いわけで、2ちゃんねる辺りでも賛否、というよりは拒否反応が上がったりしてます。まあ、それらは「オレの慶一やライダーズを若造なんかに弄って欲しくねえ」なんて嫉妬からくるものなんでしょうけどね。もちろんムーンライダーズも鈴木慶一もアイドルちゃんなんかじゃ無いけどさ(笑)、ただ逆にこういうカルト・ヒーローの方がファンの思い入れは強いんだよなあ。だから今作は聴かれる前からもう既にハードル上げちゃってるわけだ。そんなこと鈴木慶一は百も承知だろうけど。

というわけで前置き終わり。ようは中身が良けりゃそれでいい。早速聴いていこう。

・とりとめのない印象のファースト・トラックが終わるとズバッと出てくる「all right 船長」のコーラスがカッコいいっ! それとヘイト船長=鈴木慶一(なんでしょうね)のボーカルがドカンとど真ん中に定位しているのが力強さを感じさせて良い。
・更に切れ目なくつながる3曲目「夢のSpiral」は、ライダーズの名曲「夢が見れる機械がほしい」を意識していそうです。「赤ん坊の 泣き声と この声と 歌と メロディ たいして変わりはしない」というフレーズが流石、というか素晴らしいですっ! 
・まだまだ続いて4曲目。この「KeiichiからKeiichiへ」という曲目は上記の「嫉妬くん/さん」たちにはとうてい認められないんでしょうねえ(^^; 前曲とスムーズにつながっていて、合わせて1曲とも感じます。あえて老人風にしているともとれるジャケット写真も含めこのアルバム、というか最近の鈴木慶一の創作テーマとして「受け継いでいくもの」ということを想定しているんじゃないでしょうか。ミックやキースみたいに「いつまでたっても現役だぜ」ってのももちろんロックンロールですが、過去のロックンロールに恩義を感じている者が未来のロックンロールへ受け取ったものを差し出すのもまたロックンロールかなあ、と思います。伝統とかそんなことでなく、「ロックンロール」への信仰とでも捉えるべきか・・・!? ただそんな宗教臭いのは嫌だよっていうのも、これまたロックンロールだからなあ。
・名曲「スカンピン」のアンサー・ソング「Skanpin Again」も名曲だぜっ! 「スカンピンだ」からのメロディが美しい。それとどっちが弾いてるのかわからないが(船長かな?)ギターの音、フレーズがかなりいいです。抑制の効いた打ち込みとモノラル的なサウンドによく合っていると思います。
・「雨は、今日も、やみそうにない」は、はちみつぱいや『火の玉ボーイ』の雰囲気・・・ということなのだろうけど、それよりもさらにその元ネタ(?)のグレイトフル・デッドぽく聴こえました。カントリーつーかフォークなんだけどサイケ成分が感じられます。次のインストもいいですね。
・これもまた名曲だな、「自動販売機の中のオフィーリア」。船長のボーカルの良い部分がきちんと発揮されているように感じました。あとエレピ、いい音。
・「偽お化け煙突」は、挿入される滅茶苦茶なニュース原稿につきるかな。これって現代詩!? いや、たぶんロックンロール!!
・一発録りの「煙草路地」。曲も演奏ももちろんばっちりですが、嫌煙ブームの今だからこそのカウンターが小気味良いですね、ふざけんな、タスポ!
・エレキがギュワン、ギュワン唸る前曲から一転穏やかな「Love & Hate」に変わるところは、やはりニール・ヤングが思い浮かびます。
・「白い浮標」も船長のボーカルが光ります・・・そうか、今作は何気にメロディが良い曲が多いのだね、だからボーカルが良く聴こえる、と。
・「An Old Chicken Boy」からは、そろそろ航海(=アルバム)もエンディングに。「誰もが恐れる 一文字が」 こんなことを歌ったロックってあるのかな。素直にスゲエと思う。悲しさだけじゃないところがロックだと思う。
・というわけで「Boat of Fools」のおごそかな朗読で無事(?)航海終了。しかし後をひく終わり方ですな、もう1回聴きたくなっちゃう。そして、「all right 船長」でまた燃える、わけです(笑)

長々書きましたけど、これいいです。ホントいいです。5年後や10年後に聴いたら、そんときはどう感じるんだろう?と思える素敵な作品です。長い付き合いになりそうです(^^)

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