2006/01/06

新選組!!

新選組!!土方歳三 最期の一日

いやあ、ホントに良かったと思う。「こう、来るか!」って感じで。
歴史を知らないわけでもないくせに、中盤から後半は、「勝て!勝て!」と手に汗握りながら見てました。
バカか、おれは。

山本の土方がイイのは当然として、榎本役の片岡愛之助を発見できたのが最大の収穫かな。
土方とのやりとりの内容に合わせて、口調が変わったり戻ったりするのが、お見事でした。

最近はもう口ぐせになってるんですが、「男らしさを死語にしたくねえなあ」というのを
見終えてから、またつぶやいちゃいました。

なんだか忙しいのでとり急ぎ雑感を。
今年もよろしく。

※番組を見るまでは事前情報をいっさいシャットアウトしていたので、こんな番組情報blogがあったのを知りませんでした。これからゆっくり見てまわろうと思います!

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2004/12/14

「新選組!」の人々-(1)

最終回の感想を書く前に、というか多分、結局これが感想代わりになっちゃうのかな、「新選組!」の人々への一言コメントを書き綴っていこうと思います。まずはその第一弾。

■滝本捨助(中村獅童)
視聴者代表として幕末を飛び回ってくれた愛すべき名キャラクター。最期の「新選組隊士、(滝本捨助)参上!」という台詞の()内に視聴者がそれぞれの自分の名前を入れてみれば、この人がいた価値がわかるはず。

■三谷幸喜(脚本)
飛び飛びではあるけれど、ぼくが一年間書いた感想にこの人の名前はほとんど出ていないと思う。つくり手のことを書くときには、あえて「新選組!」スタッフという書き方をしてきた。それはぼくがこの人の代表作(テレビも舞台も)を、全然見ていないのでいわゆる三谷テイストというやつがわからないからということと、テレビドラマにおける脚本家偏重がどうにも納得できないからということなどの理由による。ただもう既に最終回も終った今なら言える。三谷幸喜はマジで素晴らしい脚本家だ、一年間存分に楽しめました、どうもありがとう!!

■岩倉具視(中村有志)
「新選組!」の名ヒール。白眉は伊東甲子太郎を追い込んだシーン。ユーモラスな雰囲気が逆に心底恐ろしいという役づくりは中村有志という名優(と、あえて言おう!)をキャスティングせねば決して成功しなかっただろう。

■近藤つね(田畑智子)
一時期の女子が将来の夢としてよく言ってた「かわいいお嫁さんになりたい」(今はもう死語だろうなあ)をまさに具現化したようなかわいい奥さん。とはいえ、かわいい奥さんになるためには夫の知人の犯罪者にポンと金を貸し、現地妻を認め、最期は首を斬られるところを目撃して声も出さず泣きもせずとりみださない必要もあるため、その道も楽じゃない。

■島田魁(照英)
あえて言えば誰でもできそうな役柄だったが、じゃあ他の役者の名前を思いつこうとしても、それはやっぱりできなかったりする。誰も彼もが「当たり役」の「新選組!」においてあまりにも当たり前の「当たり役」だったということか。なぜか土方のお気に入り隊士だった・・・という雰囲気は出てたような、そうでもないような・・・。

■八木源之丞(伊東四朗)
八木家の主人が池田屋事件に挑む近藤勇の後押しをするという「新選組!」ならではの名シーンは、やっぱりこの人じゃなくちゃ成立しなかったんじゃないだろうか。若い役者ばかりのこのドラマ中盤の重石という役どころでしたが、伊東四朗ならではの「軽い重石」っぷりは実にお見事。京から離れる新選組のサポートもかなりサラリと江戸前(はは、京都の人なんだけどさ)で、そこがまた良かったよなあ。

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2004/12/13

新選組! #49

新選組!第49回「愛しき友よ」12/12O.A.
なんつーか、脱力中・・・。
いやあ、一年間ホンット楽しませてもらいました、とだけしか今は書けません。

またおいおい思ったことは書いていくことにします。

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2004/12/06

新選組! #48

新選組!第48回「流山」12/05O.A.
まずはもうあと1回ということで、ぼくの2004年を大変楽しい年にしてくれたこのドラマ「新選組!」の全スタッフ&キャストの方々にお礼を書いておきたい。どうも、ありがとう。めちゃめちゃ、おもしろかったです。

■「加納君、お久しぶりです」・・・近藤局長いい顔してました。加納も(結果この大役を演じるにしては)ちょっと地味なんじゃない、と思っていたのですが、そうか、「見~つけた!」とか「憎き伊東先生の敵、覚悟!」というノリではなくて、こういう展開が待っているのなら、あの誠実で実直そうな加納鷲雄で、まさに正解。ぼくの心の名シーンも数多いこの「新選組!」ですが、今回のこの近藤と加納のシーンも外すことのできない一つになりましたね。

■前回の感想で「修羅の刻」を持ち出してまで、うぅ、沖田を、誰かなんとかしてくれ~、と書き散らかしてましたが、今回その叫びに応える男が出現・・・それはもちろん斉藤一。剣士としての最後の真剣勝負、なんてぼくが思った野暮な花道を軽く凌駕する値千金の名言「(もし京で敵味方として闘っていたら)俺は間違い無く負けていた」には、劇中の沖田も見ていたぼくの心もグワッと鷲掴みされてしまいました。こういうまっすぐで裏のない、しかもあたたかい思いやりに満ちた言葉を吐くにたるキャラクターとして大きく成長した斉藤一、マジでマジでかっこいいっす。

ああ、もう、書いてる文章がメチャクチャなこともわかってるんだけどさ、それでも書かずにいられない、つーか、「新選組!」おもしろかったよなあ、と常にいいたいことはそれだけだ。来週は最終回・・・見たいような見たくないような、もうこの際ずっと見ずにすませちゃおうか、とか気持ちは複雑。永遠に完結されたくない、つう気持ちもあるからね。あ、でもそう考えると近藤の最後がドラマの最後というこの構成も、そこがいいかも。つまり「俺の新選組は終らない!」って気持ちをこのドラマの後も闘い続ける土方たちに託せるから、妄想の中で。うんうん、それがいいしそれでいい。だから続編にはちょっと反対(やったら必ず見るだろうけど^^;)。

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2004/12/01

新選組! #47

新選組!第47回「再会」11/28O.A.
ああ、あと、ついに残すところ2回になっちゃったな。

■高校時代の友人の結婚式~披露宴~二次会~三次会~地元で〆の飲み会と出席し朝方に帰宅後、録ってあった今回の「新選組!」を見た。高校時代の友人たちと久しぶりに会って飲んで話して、変わった部分も変わらない部分もそれぞれにあって、というのを感じた直後に見たからか、「もう昔の自分たちではない」という近藤、「もはや、これまで」と去っていった永倉、「おれがいる限り、新選組は終らない」と絶叫する斉藤の誰もに非常に共感してしまった。答えはいつも一つではないので、永倉と斉藤はどちらが正しいわけではなく、どちらも正しい。それにこの2人は明治まで生きた人たちだから、それもまた一つの答えだ。今に伝わる晩年の永倉と斉藤はある意味対照的で、新撰組研究の元ともなる語りおろしを発表した永倉と新撰組に関しては黙して語らずだった斉藤、その生き方の違いが今回の「新選組!」にはよく出ていたと思う。

■陸奥園明流という一子相伝の拳法の達人たちが、時代ごとの強者と戦うという内容の、男子テイストあふれた「修羅の刻」というアニメ(原作はマンガ)があって、当然その幕末編には龍馬と新選組が登場する。そして沖田とは江戸で、土方とは函館で、それぞれ伝えられている最期の直前に、主人公と対決するわけだが・・・このアニメを見ておいて良かったなあ。というのは今回の沖田と土方、最後の稽古シーンがあまりにも切なかったから。たとえ脳内補完に過ぎなくても、あのあとに死力を尽くして闘える最後の好敵手との一騎打ちが待っていると思えなければ、ホントやってらんないよ。そういえばかつて野田昌宏という作家が著書のあとがきで「なぜマッチ売りの少女を助けに来るヒーローがいないんだ!」と童話に勝手に憤慨していたが、今「新選組!」のラストを見ているぼくにはその気持ちがいやというほどわかってしまう。沖田を、沖田総司を、「やっとここまできた」彼を、こんなところで失いたくないんだ。もし神様だか仏様だか、なんなら悪魔だってかまわない。だれか沖田を救ってやってくれ、頼む。と、ね。まあ、ぼくだってそう思ってしまうわけなんだよ。

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2004/11/15

新選組! #45

新選組!第45回「源さん、死す」11/14O.A.
さあ、かばうぞ!

まずは▼▼▼新選組! 局中用語辞典▼▼▼ から

>マトリックス【まとりっくす】
> 第四十五回「源さん、死す」における、誰も予想しえなかった戦死シーンのこと。
> 淀・千両松の撤退戦にて、源さんが怪我を負った周平を庇うように死ぬ、のはいいのだが、
> その前の描写が、マトリックスカメラワーク(スローモーション&見える弾丸軌道)で迫る銃弾
> →源さんの刀へ「シャキーン」という妙に軽い音とともに激突、左右に弾け飛ぶ弾丸
> という、武蔵(2003年大河)の巌流島もびっくりのマトリックス仕様になった。
> そのためか、本来であれば第三十三回「友の死」の如く、
> 号泣レスで溢れ返るはずであった本スレは、ポカーンとワロタと泣けなかったレスで埋め尽くされ、
> 大河全体のひとつのクライマックスともいえる、この回を貶めた演出家への怨忌に満ち溢れた。

> ちなみに、当の演出家・清水一彦氏は公式サイトにて、
>「(中略)構えた刀の刃に放たれた弾の一発が偶然、当たってバチーンと斬れたという設定。
> いわゆる “弾丸斬り”というシーンを演出しました。
> 時代劇の中にCG的なものを入れることに、拒否反応を抱く方もいるかも知れません。
> しかし、この“弾丸斬り”は源さんをスーパーマンに見せるためではありません。
> 源さんの思いが天に通じたというか、鬼神になったような一瞬があってもいいんじゃないか
> という思いから生まれた発想です。
> (中略)やはり源さんの最期は、一瞬神の如くというか、
> 一瞬カッコいいところを見せて、どんと倒れるというのが、一番ふさわしいと思ったからです」

> などと神妙にコメントしているが、
> 「おまえ単にマトリックスやりたかっただけちゃうんか」という視聴者の思いは禁じ得ない。

> 池田屋での喀血CG(>>39)、後述する「幽霊源さん」も併せ、
> NHKと清水氏には、CGの使いどころというものについてじっくり考えていただきたいと愚考するばかりである。

別にこれが視聴者の総意だというわけでは無さそうだけど、ま、それにしても非難轟々だったのは間違いないわけで、それを承知の上であえてこの「マトリックス」をかばいたい。

このシーンの前に土方と「もう刀の時代じゃない」「寂しいこと言わんでください」というやり取りがあった。そのあとに、周平を救うため銃弾の雨の中へ突っ込む源さん・・・というシーンが来るならば、そのまま源さんがなすすべなく蜂の巣になっちゃう方が「フツー」の演出でしょう。ぼくだってそう思う。でも、そこで我々は「奇蹟」を見ることになったんだよ。

先に演出論からいっちゃうと、映像演出にはセオリーはあるけれど正解はなく、またベターはあるけどベストはないんです。数ある方法論の中から、演出家がベターなものを選ぶ作業のくり返しが一つのシーン、一つの作品へとつながってゆきます。その時に「何が正しいか」「何が受け入れられるか」などの消極的な選択肢からでなく、「何を表現したいか」「何を伝えたいか」を積極的にアプローチすることが、「ものづくり」における「志の高さ」の一つの指標であり、アグレッシブな(とはいえたかだか「マトリックス」如きがいまさら先鋭的だとも思わないけど)表現を後押しできるチーム環境の充実度の反映だったりするのだと思います。清水監督自身の演出意図の一端は上記にも引用してあるけれど、それは言い訳なんかではなく(もしくはすべての演出はあらゆる言い訳の集積だ!)、あの「マトリックス」に込めた思いを素直に語っているわけで、「自分にはそうは見えなかった」かどうかはひとまず別にして、ストレートに受けとめられるべき言葉なんじゃないですかね。

清水監督が込めた意味、ぼくが見て感じた意義・・・井上源三郎が起こした刹那の「奇蹟」は、新選組、そして武士、さらには「かつての日本」へのレクイエム。「マトリックス」だけでなく、永倉や原田らの切り込みも、源さんが死んだ直後の大暴れ斉藤一も、すべて「最期の新選組」のはじまりを告げる「剣の時代」の悪あがきなんです。「剣の時代」のラストシーンを彩るために天が用意したのが「最強の剣豪集団」新選組だという歴史の粋な計らいなんだよ。
だったら試衛館の猛者の一人、井上源三郎(という肩書きが似合わないのがまた素晴らしい)は、死の直前に「奇蹟」の一つや二つ起こしますって、たかだか薩摩のなまくらダマくらい斬り飛ばしまっせ、てなもんだ。
ぼくが「マトリックス」を見たときに感じたのはそういうことだし、涙が出るほど感動したし、それになにより源さんカッコよかった。

試衛館メンバー(だけじゃないけど)の最期のシーンは、一人一人工夫を凝らした記憶に残る名シーンになっています。だからこそ源さんも、ただ撃ち殺されるんじゃなくて、「井上源三郎がいた」ことを強烈に印象づけるなにかを伴って散らなきゃならない・・・だからぼくは、沖田や斉藤や近藤や永倉らだけが剣豪だったんじゃなく、あの源さんだって新選組六番組長で剣豪だったんだぜ、それも「剣の時代」の終わりに剣でのし上がった最強チームの重鎮だったんだぜということを1カットで示した「マトリックス」は全面支持なんです。

思えばこの「新選組!」で、視聴者に源さんを最初に印象付けたのは、#5「婚礼の日に」で山口一を一瞬にして取り押さえたシーン。もちろん、人のいいみんなの源さんという描写がほとんどで、いかにもそれにハマっていた小林隆という名キャスティングだったことが「新選組!」井上源三郎の魅力の中心ですが、「やるときはやる」があったからこその源さんだったんだよ、と、最期にそれを思い出させてくれたという点でも「マトリックス」はよかったなあ。

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2004/11/01

新選組! #43

新選組!第43回「決戦、油小路」10/31O.A.

よく「鳥肌がたつ」なんて言い方で感動の度合いを表現したりしますが(本来は誤用だそうですけどね)、今回「新選組!」見ているあいだ中、ぼくはずっと「歯噛み」してました。
おそらく愛しさと切なさと先におこることを知ってるがゆえの無力さと(まあ、いつだって視聴者は作品世界にたいして無力であたりまえ)、そんな気持ちがぼくに「歯噛み」をさせてたんじゃないかと思います。

「歯噛み」するほど感動した・・・ということなんですが、流行りませんかね、このいいまわし・・・流行らないですよね、そーですね。

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2004/10/20

新選組! #41

新選組!第41回「観柳斎、転落」10/17O.A.
今回みたいな回が代表的な「新選組!」らしい回といえるのかもしれません。史実や定説の合間をぬっての新解釈やマイナー隊士(武田観柳斎も、メジャーではないよね)にもスポットをあてる、シンプルな善悪、良し悪しの定義をしない・・・など。あと展開のスピーディーさやシリアスとコメディのバランスなんかも、「らしい」のかな。

というわけで今回も非常に楽しめました、マル。
てな感じで、もう細かな感想だとか展開の予想だとか、内容への期待とかなんとかホントもうなんにもありません。とにかく「新選組!」大好き。なんて馬鹿なことしかもう書けないや。なはは。

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2004/10/13

新選組! #40

新選組!第40回「平助の旅立ち」10/10O.A.
「新選組!」は、この先の邦画やテレビドラマになくてはならなくなるだろう役者たちのカタログ、的な見方でもすごい楽しめますよね。しかも単にカタログなだけでなくその役者たちの「代表作」「出世作」ともなるような役柄、名シーンをふんだんに盛り込んであるのも素晴らしい。

今回の沖田(藤原竜也)と平助(中村勘太郎)の別れのシーンも、おそらく彼らのヒストリーの中で欠くことのできない名場面になったと思います。

次週はいよいよ(?)武田観柳斎(八嶋智人)の最期。この人「新選組!」出演前は「トリビアの人」という属性で、たとえば2ちゃんの「新選組!」スレなんかにも名前の代わりに「トリビア」なんて名称で書かれてたりしましたが、この先は「武田観柳斎の人」というのが彼の属性のトップになっていくんだろうな、と思います。
実際にぼくも先日「お父さんのバックドロップ」を見て、まあ宇梶剛士を「西郷さんだ」とはあまり思わなかったけど(宇梶自身がいろんな面で露出過多だし)、生瀬勝久は「あっ殿内だ」と思いましたからね。
失礼ながら「新選組!」に出演している多くの役者は、キャリアはそれなりにつんでいる方々ではあるけれど、演劇などをあまり見ないお茶の間層にとっては、顔と名前が一致しない人なわけで、それを逆手にとってかのような役柄への刷り込みがあまりに見事に機能しているということですかね。

ただそれは「新選組!」の特徴というだけでなく、NHK大河ドラマというなんだかんだで未だに注目を浴びる枠の伝統的な特徴でもあるのもたしかですから、今シーズンは三谷幸喜を含めた「新選組!」チームがことさらうまくそれを利用できたということなんでしょう。
ちなみにぼく自身の経験でいえば、柴俊夫はしばらくずっと「又さん」(春の波涛)と呼んでました!

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2004/10/05

新選組! #39

新選組!第39回「将軍、死す」10/03O.A.
新選組はもはやバラバラだ。一時は鉄壁のチームワークを誇り、「上様のため」「京の町を守るため」に奮闘していたものだが、その栄光の時期はあまりにも短かった。原因は、時勢もあるし隊の内部にもあったのだろう。もともと長く続けられるような組織ではなかったのかもしれない。

土方歳三の混乱と憔悴が、この「新選組!」では手に取るようにわかる風につくられている。上記の新選組隆盛期というのはまさに芹沢鴨暗殺~池田屋事件後までの土方の才気が爆発していた時期と重なります。「近藤勇を大きくする、新選組を大きくする」という目的にブレがなかった時の土方は、以前にも書いた「乱世をサバイブする知恵の塊」の魅力に溢れていました。ただいつの間にか、土方の時代を読み取る嗅覚が鈍くなってきていて、時代の風が「アタマいい奴が生きにくい時代」から「とにかくアクションしたもの勝ち!」へと向きを変えつつあることに反応できていないように見えるんです。もしくはその時代の風向きに気づきながらも、既に「守り」の段階へと移行している新選組という組織を率いなきゃならないことのギャップ自体が土方を苦しめているのでしょうか。史実および「燃えよ剣」などの創作では、このあと土方がまた大きく成長することになるのですが、はたして「新選組!」では・・・どうでしょう。

ちなみに#37の感想の最後に冗談めかしてチラっと書いた「土方ヒロイン説」ですが、土方の行動原理が今のところ自分の中になく、「近藤勇」や「新選組」がその代わりとなっていることから思いついたことです。ヒロインというより女房役、といった方がわかりやすいかもしれませんね。女に関しては「テキトーに遊んでいる」が結局、生涯独身を通した土方なので、「自分が主役」になることに関してなんらかの抵抗があったか、それとも自らの資質(女房役、サポート役)を自覚していたのか、はたまた近藤勇にそれほど心酔していたのか、ま、なにか理由があって自分でも率先して女房役をつとめていたのでしょう。山本耕史はそのあたりうまく自分の中で消化して演技しているのか、見ていてホントに名ヒロイン(といわずに名脇役といえばいいのかも^^;)だなあと感心しています。

なんていろいろ書いてはいますが、すでにぼくの中では「新選組!」は名ドラマ殿堂入りが決定しているので、そんなに感想とかってないんですよ。だってどんなエピソードもぼくの予想や心配をはるかに上回るクォリティでクリアーしてっちゃうんだもん。もうね、あとは釣堀のフナみたいに口開けて毎週アホ面しながら最終回までパクパク見るだけ。

来週のサブタイトルは「平助の旅立ち」か。御陵衛士離脱の際の平助との別れを「旅立ち」とは、これまたうまい表現だよなあ。

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2004/09/20

新選組!#37

新選組!第37回「薩長同盟締結!」09/19O.A.
またも名シーン登場。松原がお初に刺されたときに斉藤が表れたのには、ホントにまいった。いやいや、名シーンだよねえ。
そんで思ったのはやはり「新選組!」の主人公の1人に斉藤一も加えるべきだなあということ。前からぼくが書いたこともふまえて少し整理すると・・・。

【主人公】近藤勇(香取慎吾)
これはまあ当たり前。この「新選組!」は近藤勇物語なわけで、当然近藤の行動を追っかけるように話が進んで行きます。ただ新選組という集団を扱うドラマですから、近藤自身がアクティブに動くというよりも勝手に動いていく他の登場人物の「受け」として、群像のセンターでドッシリ構えているという役どころ。今回あたりではもうそうとうドッシリしてましたが、そのドッシリを最初から備わっていたものとしてでなく、だんだんドッシリしてくるというふうに描いていて、それと香取慎吾という配役の妙は、なかなか成功してると思います。

【主人公2】沖田総司(藤原竜也)
#21の感想でもふれましたが、オープニングで近藤(香取)の次に沖田(藤原)が表示されるのって、実は単なる大人の事情(所属プロダクションの問題とか)なだけでなく、物語としての必然があるような気がしています。「新選組!」は沖田という若者のグローイング・アップものでもあり、そのために必要とされる場面はぬかりなく配置されていますよね。前回、沖田が「みんな変わっちゃった」という台詞があったけど、実は変わっているのは沖田自身なんですよ。京にきてから、人を斬り女を抱き病気になる・・・必ずしも沖田が望んだことばかりではないが、否応なく大人の階段昇っちゃってます。たしかに表面上の明るい部分で「ちっとも変わらない沖田」を演じてはいますが、変わったことを隠そうとしない(隠す必要もない)人たちの方が状況に合わせて自然にふるまっているともいえますから、「変わらない」フリを続ける沖田が、この「新選組!」の中ではイチバン変わっているんだと思います。というような役を演じる(さすがに自分でも書いててゴチャゴチャしてきた)藤原竜也は、すんごくムズかしい演技をこなしてるんだなあ、とあらためて実感。

【主人公3】斉藤一(オダギリジョー)
さあここで追加。
近藤をはじめ人を斬るのにためらいまくる人たちが多いという、「人斬り集団」なんていうパブリック・イメージからするとある意味不思議な新選組ドラマ「新選組!」。で、その中にいる数少ない例外がこの斉藤一です。そもそも近藤との縁をつくったのも江戸での殺人なわけですから、「人斬り」としては筋金入りだよね。再登場後もなにかっちゃあ、すぐ刀を抜くアブナイお兄ちゃんとしての活躍が目立ちまくり。そういえば古高拷問の際のおっそろしいテクニックを土方に伝授したのも斉藤でした。でもね、その一方でやたらと目につくのが八木家の為三郎くんとよく遊んでいたり、試衛館チームと芹沢チームとの親善相撲大会(遠い目になっちゃうなあ・・・)での活躍だったり、沖田や松原へのアドバイスだったりとか、他にも細々とあるんだけど、「人斬りのわりに人間味がある」というか「意外と義理人情に厚い」というか、そういう描写なんだよねえ。で思ったのが、この「新選組!」では、「冷酷な人斬りマシーン」だった斉藤が、近藤や新選組の影響を受けて徐々に人間らしくなっていく・・・なんていうタテ糸もかなり重要な要素として織り込まれているのかなということ。こう書いちゃうとかなり凡庸な設定だなあ、とか見えなくもないけど、世間では「人斬り集団」とされている新選組のドラマで、「人斬りマシーンから人間らしくなっていく」という登場人物を配置しておくのって、ベクトルが逆になっているのがおもしろいなあ、結構これ効いてるんじゃない、と思いますよ。しかもその役回りが斉藤というのは、「史料があまり残っていない謎の人物である(=人物像を創造できる余地が多い)」「明治以降も生き残り天寿をまっとうした(=他の登場人物の死にほとんど立ち会える)」の2点において、うまい設定なんですよねえ。でもまさか松原の心中(?)に立ち会うなんて思いもしなかったから、ホントーに驚いたよ。

【裏主人公】坂本龍馬(江口洋介)
この人がいないと幕末史の重大事件の描写がなさ過ぎるという・・・。今回後半も堂々の主役でした。近藤と友だちという設定に相変わらずやいのやいの文句つける奴いるみたいだけど、それなくしてどうやって新選組主役で幕末を書くつもりなんでしょうねえ。最低限のフィクションで最高の効果を生んでいる、名設定だとしか思わないけどなあ。

【真の主人公(???)】滝本捨助(中村獅童)
獅童の当たり役として未来永劫語られること間違いなしのスーパー・キャラクラー。あの「鞍馬の天狗」を彷彿とさせる役回りをこの捨助にあたえるなんて、とんでもなく素晴らしいアイディアじゃないですか。新選組ものにちゃんと天狗が出るっていうのは、すっげえ楽しいよね。ここまできたら「維新の影に捨助あり」と後世で称されるくらいの大活躍をもっともっとしちゃったってかまいません。捨助の目線ってぼくらが幕末に感情移入するのと近いかもね。視聴者代表キャラが本来の設定なのでしょう。ま、捨助に代表されたくないって視聴者めちゃくちゃ多いんだろうけどさ。

と、ぼくが見ていて「新選組!」の主人公だと思う人々はこんな感じです。もちろん群像劇、集団劇だから他の人が単純に脇役ってことでもないし、もしくは上に抽出した人にぼくが感じたほどの重きがおかれていない可能性もあるでしょう。でも、いよいよ第4コーナーへと差しかかった「新選組!」で、1年を通じてのタテ糸として機能しているのは、やっぱり上記の人たちなんだろうと思いますよ。

えっ?土方???・・・彼はヒロインです!!

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2004/09/13

新選組! #36

新選組!第36回「対決見廻組!」09/12O.A.
思ったことをランダムに書きとめておきます。

■今回はいわゆる普通の時代劇、でした。逆にいえば“普通の時代劇”の「新選組」の風景を出現させるために35話を費やしてここまで来た、ということなのかもしれません。

■藤堂平助の額の傷は前年の池田屋事件の時のもの。この「新選組!」では池田屋事件直前に平助がぷちトラブルを起し近藤に叱責された上に励まされるというシーンがあったため、なんだかその傷が近藤との絆の証にも見えています。物語内時間での1年後、さらに1年半後には当然もう傷は癒えているのでしょうが・・・その時に平助はどう変わっているのでしょうかねえ。

■噂の天狗の捨助。もうちょいひっぱるのかと思ったけど、沖田のスゴ技で正体が近藤たちにバレてしまいました。天狗ごっこももう終わり、でこの先何処へ行くのやらと思いきや、京の都を火の海にするというとんでもないことをしでかしてくれちゃいます。さすが、捨助。しかし、おりょうにご執心という伏線の行きつく先が、まさか「竜馬暗殺」だったりはしねえだろうなあ。

■やっと登場、大石鍬次郎。今回は周平イジメをしただけですが、なかなか“人斬り”ないい面構えでいいですねえ。油小路での役回りは当然あるとして、たとえば兄の敵今井祐三郎をつけ回すエピソードなんかも用意されているのでしょうか。一口に新選組といってもいろんな奴がいてそれぞれに不思議な因縁があったりする、という意味では好きなエピソードなんですけどねえ。

■幕末最大級のビッグイベント「薩長同盟」に向けて着々と竜馬らが動き出しているのに・・・新選組は見廻組と小競り合いですか・・・という歴史を俯瞰する際の視点移動がなかなかうまく描けていますよね。ここから先は時代の歯車との噛み合わなさが新選組の行方を決定するわけですが、その辺りの描き方も過剰にヒロイックにならなそうなので、ちょっと安心。

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2004/09/01

新選組! #34

新選組!第34回「寺田屋大騒動」08/29O.A.
いやあ、楽しかったけど・・・困った回でした。

下世話な書き方になってしまうんだけど、結局、勇と深雪太夫はさあ、デキてんの?
状況から考えれば、デキてんだろうけどさ。でなきゃ、いろんな意味で身請けはムズかしいもんね。あとデキてるんでなければ、つねとみつと鉢合わせで大騒ぎ、にもなりにくいだろうし。でも、それなのにしつこく勇に「そんなんじゃない」といわせ過ぎてる気がして、個々におもしろい描写が多かった折角のドタバタ・コメディもいまいちノれませんでした。

新選組ドラマという取り組みは(歴史ドラマといい換えてもいい)、数々の史実や定説を踏まえるなり間をぬうなりあえて無視するなりしてつくり上げる、いわば「規定演技」な訳で、この「新選組!」ではその「規定演技」の見事さ、たとえば「芹沢鴨暗殺」「山南敬助切腹」「池田屋事件」といったドラマ上での重要なポイントから「近藤周平を養子に」とか「永倉らの建白書」のような細やかな史実のフォローまで、実にうまく処理してきていて、そこがなんとも素晴らしいなあと感じてきていただけに、今回の「深雪太夫の身請け」に関してのアレンジがやや不調だったのが残念です。

勇と深雪太夫の大人なつながりが、もちろんそのものズバリのシーンや台詞を足すカタチでなく、もっと伝わるようになっていれば、もう少し違ったんじゃないかなあと思います。つねが、すげえかわいい奥さんとして成功しているんだから、深雪太夫もただ綺麗でかわいいっていうだけじゃない魅力を持たせられないのかなあ。もっとも京都での出会いシーンの謎が未だ解明されていないので、このあとその辺りの意外な展開が用意されているのかもしれませんが。

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2004/08/23

新選組! #33-(2)

新選組!第33回「友の死」-(2)
まずオープニング前のアバンの出来がパーフェクト!
逃げる山南と追う沖田。事情を知らない明里はのんびり山南との二人旅を満喫。一方の沖田は追っ手なのに「見つけちゃいけない」という非常に複雑な命令の元、馬には乗っているが微妙な速度で歩を進める。お花摘みの後は「おなかすいた~」な明里。山南は急いでるんだかいないんだかの、こちらも複雑な様子。お団子屋での微笑ましい山南と明里のやり取りの後、ついにカメラは沖田の姿をとらえたーっ。
もうね、これだけでごはん何膳もいけるっつーの。各自の複雑な思いが交錯するハラハラ・ドキドキ&まったりな追跡劇に視聴者は釘付け。久々のロケ絵の開放感も気持ちいいし、この一連のシークエンスで前半余裕で持ってけちゃうよな。実際ぼくもせめて20分目くらいまでは、ここと屯所のカットバックでつくり込むのかと思いましたよ。
ところが山南はスクっと立ち上がり「おーい、沖田くん」とのん気な声。沖田も驚いてたけど、こっちも驚いた。
すかさずオープニングがドンッ!

ここまででもう今回が名作なことは決まったも同然。あとは時間たっぷり泣けばいいだけ。

宿屋での山南と明里のやり取りあたりから既にぼくの涙腺は活動開始。
松原忠司、河合耆三郎、尾関雅次郎が山南の助命を懇願するシーンが最初の山場。部屋の外で土下座していた3人の姿を見た瞬間に目の前が霞んだ。さらに自分も無念さでいっぱいなのに、それごと振り払うように「おまえらも腹切りたいのかーっ」(だっけ?今回の台詞引用はテキトーなんですが勘弁してください^^;)と怒鳴る土方が傷ましくてねえ・・・既に泣いてるのに追加でもうひと泣き。

そして、まさかここで来るか!の岩木升屋事件。山南敬助唯一の正統派活劇シーンが切腹直前に挟まれるなんて・・・なんかすげえ。斉藤一の口から語られる山南・土方タッグの絆。斉藤がっていうのがまたいいんだよな~。聞いてるのが沖田とひでっていうのもね。
#21の感想でも書きましたが、この「新選組!」は近藤勇が主役の物語であると同時に沖田総司の青春残酷物語でもあるわけで、「好きな人はみんな私の刀で死んでいく」という沖田の悲痛な叫びはおそらく「新選組!」を代表する台詞の一つになることでしょう。

なんとか山南を助けたい隊士たちと覚悟を決めた山南の切ないやりとりが次々とある中で、再び明里と山南のシーン。ここに近藤が同席しているというのも・・・誠に正しい。ただこの時点で「あれ?これが明里とのラスト・シーン?下母澤寛オリジナル(らしい)の名場面、窓格子ごしの別れは今回はオミット???」と思ったりも。まあ、しかし最期の別れを近藤が見ていたというのも「新選組!」らしいっちゃらしいよね、と若干の無念さを無理矢理納得させてみたりしてたのだが・・・。
切腹装束になり静かに時を待つ山南の元へ・・・明里が!しかも来た来た来ました窓格子ごしだーっ!しかし、また、なんで、と感動というより呆気にとられていると明里の向こうに“監察王”山崎烝を発見。「あんた、いい仕事し過ぎだよー!!!!」と思ったその刹那、史実だの伏線だの知識だの感情だのフィクションだとか事実だとかもういっさいがっさい全部吹っ飛び、アタマ真っ白になって泣き出しました。明里と山南の台詞の息継ぎの間すら、これで最期か、と気になって、意味もないのにこっちが息止めて見ちゃったりして・・・涙と鼻水に加えて息まで止めちゃ山南が死ぬ前におれが死ぬとこだっての(笑)。
ここでひとまずぼくの涙は枯れ果てたのか、続く明里の告白~山南切腹までは、きちんと正座して静粛に見守ることができました。山南敬助さん、さようなら。

もうこれでお腹一杯。もう何を持ってこられたって何にも入んないよ、という感じ。伊東甲子太郎が出てきて一首詠むというところもフーンてなもんだ。中身知ってるしね~。
ところが「春風に吹きさそわれて山桜散りてそ人におしまるるかな」と句をアタマの中でなぞりながら聞いてる時に、初登場から今までの山南敬助の姿がまさに走馬灯のようにブワーッとよみがえったんですよ。そしたらもうたまんないわけだ。おそらく劇中の近藤と土方もそうであったに違いないと、おれは勝手に決めつけるぞ。
この伊東絡みのシーンは昨日からこっち、ネット上では「イヤミ説」「空気読めない説」「局長副長にお追従説」「いやいや伊東も本気で悲しんでた説」などさまざまな解釈が飛び交っていますが、伊東にどんな意図があったにせよ、実際に和歌を聞くまでは近藤も土方も伊東がその場に来たことなど気にもとめてなかったんじゃないかと思う。ところが伊東の野郎(笑)の作った歌がよせばいいのに無駄に上手かったりしちゃったもんだからさあ、近藤と土方の張りつめていた糸がプチンと切れて心の中が「山南敬助」でいっぱいになっちゃたわけだ。もうどうしていいかわかんない近藤はこれまた無駄に逆ギレして「あんたになにがわかる!!」という怒声になった説、というのはどうですか?いや別に返答はいりません(笑)。
もうさあ、こんなのズルいぞ「新選組!」。よくある「在りし日の山南さん」なんていうフラッシュを挟むなんて演出だったら、それはそれでいいよね、くらいですんだのにさあ。近藤と土方と一緒に「春風に吹きさそわれて山桜散りてそ人におしまるるかな」なんて歌聞かされてみろよ、胸の中一杯になっちまうじゃねえか。そして怒鳴りつけられて鳩が豆鉄砲食らったみたいな伊東の顔見てたら「そうだよな、こんな奴にはわかんねーよな。おれらはなあ、ずうっと山南敬助と一緒だったんだよお」って気持ちが溢れてきて、もう涙腺なんてとっくにカラッポだったから、声上げて泣いたよ、「ウエーン」って。

そしたら同時にあっちで土方歳三も声をしゃくりあげながら号泣していた。

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2004/08/22

新選組! #33

新選組!第33回「友の死」08/22O.A.

パーフェクト。
100点満点で採点するならば、1000点は軽く超えている。
「山南敬助切腹」というお題でこれ以上のものは、小説でも映像でもマンガでも、
ちょっとしばらくは出てこれないんじゃないだろうか。
(「月明星稀―さよなら新選組―」の作者はさぞ歯がみする夜だろう・・・まあそれでも期待していますが)

と、とり急ぎ書きとめられるのはここまで。
視界が潤んでいたため見落とした部分もあるだろうし、心落ち着いたら見直して、
また改めて感想を書こうと思います。

今はただスタッフ、キャスト全て含んだ「新選組!」にスタンディング・オベーション。
今後まだこれを凌ぐ回が放送されるとしたら、それはもうとんでもないモンスター・ドラマになるってことだなあ。

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2004/08/16

新選組! #32

新選組!第32回「山南脱走」08/15O.A.
前々回や前回を見たあとに比べれば、ホントはもっとそうなってもおかしくない筈の回なのに、不思議とぼくの胃はキリキリと痛みませんでした。たとえそれが切腹へと至る決断だとしても、あれこれ悩んでいる姿に感情移入しているよりもそれなりにスッキリとするからですかね。そう、劇中人物でいえば永倉のように、山南の決断を尊重できたからかもしれません。
今になって土方が山南のことを嫌っているわけでなく、試衛館以来の同志として、また自分にはない知識とロジックを持っている価値があることを認めていたことが、自身の口から(視聴者には)語られるわけですが、これはまあ決断した山南へ贈る餞のようなもんで、結局山南は土方との対立なんかにだけ思い悩んでいたわけでなく、芹沢鴨もそうであったように「自分の限界が見えてしまった」ことが最大の悔みであり嘆きだったんでしょうね。今の世(幕末)に必要な人間、必要とされる人物は近藤や竜馬のような人々。自分は彼らがきちんとステージに上がるまでの手伝いとそこで存分に活躍できるためのバックアップが役目と考えていたんだけれど、どうやらその目標も半ば達せられた今となってみれば、描いていた理想のシチュエーションとは時代も配役も随分違ってきてしまった、と。常に自らの羅針盤に時代や状況を照らし合わせて行動することが生き方だった山南にとって樹海に紛れ込んでしまったが如くその磁石が効かなくなってしまえば、あと考えられることは幕引きだけでしょう。よって、この山南脱走~切腹は芹沢粛清と同じように「アタマいい奴が生き難い時代」の悲劇的側面と捉えられると思います。

そして土方歳三になぜか備わっている嗅覚はこの乱世が「アタマいい奴が生き難い時代」であることを認識しているんだよなあ。だからこその法度であり粛清なわけで、それもまた一つの手段でしかなくこの先土方も新選組も時代の悲劇的側面から逃れられなくなるわけでもあるのだけれど、少なくともこの時点での新選組にとってベターな選択肢ということだ。「もし近藤局長が法度に背くようなことがあればどうなる?」というシーンはいくつかの新選組物、たとえば連載中のコミック「月明星稀―さよなら新選組―」なんかにもある、有名な局中法度とそれを運用する鬼の副長の立場を描く一つの定番。ようやく今回「新選組!」にも「おれでもか!」(近藤)「あたりまえだろ!」(土方)というやり取りとして登場した。前述のコミックでの土方は「近藤を斬って自分も死ぬ」とたしか答えていて、その同志愛というかまるで心中のような一蓮托生ぶりも新選組物の王道だけれど、この「新選組!」での「あたりまえだろ」という台詞がスルっと出てくる土方には「乱世をサバイブする知恵の塊」とでも名づけたくなるような新鮮な魅力が満ちている。不良(バラガキ)上がり的抜け目の無さと度胸、軍事組織を構築する才能、さらには「自分は端からカラッポだ」なんてことを知っているクールさ、等々のバランスが実にたくみでおもしろい。ここ数回を山南贔屓のぼくから見れば憎んでも憎みきれない敵役・・・になってもいいのに、そうとは思えないんだよねえ。納得はできないくせに、どうしてか惹かれちゃうんだよな、この土方には。

とにかく「新選組!」では皆よく悩む。近藤も土方も山南も鴨も竜馬も。たしかに幕末は後世のぼくたちにだってわかりづらいくらいなんだから、そらしょうがないよね。なにが「攘夷」でなにが「尊王」か。国というのは、故郷のことか幕府のことか日本のことか。誰から何を守るのか、もしくはどこのどいつを倒すと世直しになるのか。ああもう、わかんないことだらけだよ。幕末も、今(2004年)もね。なんて「新選組!」見てるといつのまにか今のことを考えてたりする。それが今のぼくにはすげえおもしろい。
できれば後の紙芝居で子どもたちに大人気のヒーロー、の元ネタになるなんてことは自分も周りも誰もちっとも思いもよらないお調子者として生きられたら素敵かもしれないけど、まあそんなのはきっと気のせいだろう。

>>今週の新選組! 山南脱走
>>水川青話
えっと・・・ぼくがくどくど書いたような山南の心境がもっとわかりやすく明解に書かれております(^^)
それと追っかける沖田と逃げる山南の考察が、いい感じです。

>>後記  /  大河ドラマ『新選組!』
>>白牡丹のつぶやき
ネタバレ怖くてストーリーブックには手を出していないんですが・・・
>ドラマストーリーブック通りだったら……もっと土方嫌いが増えたわな(苦笑)。
だそうで。う~ん、読んでみたくなってきたかも(^^;

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2004/08/13

新選組の本-(2)

新選組の本-(1)

■「輪違屋糸里」浅田次郎(文藝春秋)
「壬生義士伝」の吉村貫一郎に続き、「芹沢鴨暗殺」の際に平間重助と同衾していた島原の芸妓・糸里、なんていうとんでもないところから題材を持ってくる浅田版新選組の第2弾。
その糸里を中心に新選組の周りにいた女たちの目から新選組を描くという手法も、聞いてしまえばなんてことないが、実際に読んでみるとその迫力やワン・クッション置いたところから語られる新選組隊士たちの姿がなんともリアリティを持って感じられてくる。丁度これを読んだときに「新選組!」でも「芹沢鴨粛清」に至る部分をやっていたため、特に芹沢鴨が佐藤浩市バージョンとかなりシンクロしてました。芹沢一派と近藤一派の争いが誤解に基づくもの、また芹沢自らも百姓に近いところの出身だった、という浅田解釈は悪くないと思います。庭いじりをする鴨のシーンが印象的。
これで浪士組結成~芹沢鴨暗殺までがこの「輪違屋糸里」で、主に新選組中後期~函館戦争までが「壬生義士伝」で書かれましたんで、短編などでもいいからその間のエピソードも是非、浅田次郎に書いてもらって、「浅田版新選組サーガ」を完成させて欲しいなあ、なんて勝手な期待をしています。

■「俺の新選組」望月三起也(ホームコミックス)
代表作「ワイルド7」の幕末版ともいうべき、暴走族テイストの新選組が大活躍。バイクではなく馬を駆ってのアクションシーンはお見事。特に土方のピンチに駆けつける佐之助と沖田がめちゃめちゃカッコいい。
「俺の」の部分は作者と主役である土方歳三の両者にかけてある。強烈なオリジナリティがこの作品の肝なので、史実重視派や他作品のイメージを大切にしたい人にははなはだ不向きです。
ただし物語は芹沢暗殺のところまでで終了。この面子での池田屋や油小路、鳥羽伏見の戦いも見たいなあ。

■「土方歳三の鬼謀」柘植久慶(ハルキ文庫)
「鳥羽・伏見の戦い」、「北越会津戦争」、「箱館・宮古湾戦」でなんと土方と新選組が勝ってしまうという夢のような小説。中でも幕府の軍用艦・甲鉄を奪還する件には感涙。
戦略シュミレーション色が強く、読み物としてはB級の域を出ないのも確かだが、新選組ファンとりわけ「燃えよ剣」以来の土方ファンならば一読して損はない。もちろん果たせなかった夢の話、死んだ子の年を数えるような行為なんだけれど・・・。

■「黒龍の柩」北方謙三(毎日新聞社)
放送中の「新選組!」でも、今まさに切ない火花を散らしている土方と山南。 この永遠のライバルが実は裏で通じている最大の理解者であり真の友だった・・・というこれまた(一部の新選組ファンには)夢のような小説。しかも幕末から先を見抜くビジョンという面ではどうしても弱かった新選組に、勝海舟経由で「ありえたかもしれないもう一つの日本の道」がもたらされ、それへ向けて獅子奮迅の活躍をする土方歳三が、これまた無類のカッコよさ。ラストシーンも、賛否両論あるとは思うけど、ぼくは大いにアリだと思う。なんつっても絵になるもんね。

■「幕末」司馬遼太郎(文春文庫)
幕末の暗殺を題材とした短編集。特に新選組が主役というわけではないのだが、暗殺というキーワードで綴られる幕末史ということで、あの時代の不可思議さというか特異さみたいなものが各編の間から立ち昇るようであり、新選組ファンにもアピールする内容になっていると思う。読後切ないんだけれど、それがまた良い。

danshi02.jpg司馬遼太郎作「新選組血風録を読む」
立川談志(コロムビアミュージックエンタテインメント)
これは本ではなく、立川談志が司馬の名作「新選組血風録」からの三編を朗読したCD。熱心な新選組ファンである談志が思い入れたっぷりに読んでいて、別に声色をつくっているわけでもないのに近藤、沖田、土方らそれぞれの個性が浮き彫りになっているのがすごい。伝通院で土方がはじめて芹沢鴨を目撃するシーンなど、何度聞いてもゾクっとしてしまう。
で、ぼくが聞いた限りではどうやら談志は土方がお気に入りのよう。土方の冷たさや優しさが自然と理解できるんですかねえ。

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2004/08/09

新選組! #31

新選組!第31回「江戸へ帰る」08/08O.A.
しかし、前回も今回も見ていてツラいというかイタいなあ。それはぼくが山南に感情移入しているからというのもあるし、あと土方の「気持ち」それ自体は理解できるのだが、そうまでして土方が「向かう先」のビジョンがちっとも見えていないというのがもどかしくもあり、アイタタタという印象なんです。もちろんそれはこの「新選組!」という物語を進めていく上での計算でもあり、このドラマが(登場人物たちにとって)悲劇的な結末を迎えるのは決定事項なわけですから、ストンと腑に落ちる展開を望むべくもないのですが・・・ああ、それにしても前半でそれぞれのキャラクターを活き活きと魅力的に描いてきたのは、また随分とイジワルな話だったんだなあ、と改めて思います。
そしてやっぱり山南敬助。芹沢鴨にも感情移入してましたけど、まだ芹沢の方が隙があったというか良くも悪くも自分勝手だった分だけ、「ここで死んでしまったとしても、案外悪い人生じゃなかったんじゃないか」と思える余地があったんだよね。でもなあ、山南はなあ・・・。今回竜馬と会話するシーンがあったけどさ、それこそ竜馬の海援隊なんかの方が自分を活かせたのかもしれないよね。(ものすごくアバウトでなんなんですが、ぼくの中では山南と陸奥宗光がダブるというか、陸奥を堺雅人が演じても似合いそうだな、と思ってます)まあ、この「新選組!」ではそれほど目立たないけど、実際は結構実直な尊王攘夷思想の持ち主だったみたいなんで、それはありえないんだろうけどさ。でもなあ、もっとなんとかならなかったんだろうかねえ、山南。次回とか次々回とか見るともっともっとツラくなりそうだよねえ。

あ、あと全然上記とは関係ないんだけどさ。新選組の屯所である八木家がだんだんと本来の民家から新選組の「基地」らしくなっていくのって、なんだかRPGで城や街が発展していくのに似てて楽しいよね。門のとことか中庭とか。そういえば最近、八木源之丞の出番がないね。

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2004/07/26

新選組! #29

新選組!第29回「長州を討て」07/25O.A.
今回は新選組以外の人たちの名シーンが続出でした。久坂玄瑞(池内博之)はもちろん、寺田屋の女将お登勢(戸田恵子)、迫力満点の西郷隆盛(宇梶剛士)など一年を通じても印象深いであろう見せ場がそれぞれにありました。そしてなんといっても大活躍だったのは「新選組!」オリジナル・キャラクターの滝本捨助(中村獅童)。録画してあった「丹下佐膳」を見たばかりということもあり少々獅童びいきなもんで、捨助の小気味の良い活躍には拍手喝采。それにしてもここに至るまでの数々の伏線と史実との絡ませ方は、改めてすごい。誰も多摩の若旦那が日本の歴史にこんなカタチで大きく絡んでくるとは思わなかっただろうねえ。この先も混迷する幕末の日本の裏側でじゃんじゃん活躍していって欲しいもんです。

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2004/07/20

新選組! #28

新選組!第28回「そして池田屋へ」07/18O.A.
「京の治安を守る。己の信念に一点の曇りも無い」という近藤の台詞は番宣で何度も使われていたので、どういう経緯があってこの台詞に辿りつくのか楽しみにしていましたが、まさか八木源之丞が最後に背中を押す展開だったとは。「京を守る」ということへの近藤のモチベーション及び視聴者の共感という意味でぼくはこの近藤と源之丞のやり取りはとてもジーンとしたし、高く評価したいと思いますが、ノれなかったという人も多かったんだろうな(なんで新選組局長が屯所を提供しているとはいえ一民間人に重大な相談を持ちかけ、しかも言うこと聞いちゃっているわけ???、ってことね)とは思います。しかしイズムやイデオロギー、保身や謀略、それぞれの正義とエゴが渦巻く幕末の京都で、民の立場でものを見て、行動するこの「新選組!」の近藤勇は新鮮だし、今、2004年に放送されているドラマの主人公として充分に魅力的なんじゃないでしょうか。

ああそして、日本の芝居(映画/演劇/テレビドラマ)の数ある定番シーンの一つである「池田屋事件」の2004年NHK大河ドラマ・バージョンは、解釈としても内容としても、新しいスタンダードになりえるほど充実してました。この先、日本の映画好き、テレビドラマ好きを10年、20年と楽しませてくれるだろう素敵な俳優たち・・・山本耕史、八嶋智人、照英、藤原竜也、オダギリ・ジョー、中村獅童、中村勘太郎、山本太郎、山口智至、堺雅人、香取慎吾・・・文句なく彼らの代表作になったと思うし、三谷幸喜の才気あふれるシチュエーションの追い込みが爆発した脚本、リアリティよりもコントラストを優先させたアグレッシブな音響効果、「時代劇」のセットではなく建築物として存在感をもつ池田屋をつくりあげた美術とそれを存分に活かしたダイナミックなクレーンワークを見せてくれた撮影、さらにその各要素からのパワーをガッチリと受けとめつつも過剰に気負うことなくサクサクと小気味のいいテンポをつくりだし「2004年の池田屋事件」を描ききった演出、もちろんこの華麗なチームワークをつくりあげたプロデュースもお見事、すべてのスタッフ、キャストに感謝感激雨あられ、だ。

ドラマとしての充実度は先の「芹沢鴨暗殺」の方が高かったと思いますが、このエンターテインメントに徹しきった「池田屋事件」も、「新選組!」の誇らしい成果の一つと間違いなくいえるでしょうね。
あ、でも数字(16.6%)は、正直残念無念。う~ん、やっぱりテレビはムズかしいね~。

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2004/07/13

新選組! #27

新選組!第27回「直前、池田屋事件」07/11O.A.
池田屋事件の前編といえば、注目はやはり土方歳三のキャンドルサービス。大河ドラマだし、それにこの日は選挙速報があるために放送時間が19時15分のジャストな晩飯時に繰り上がってもいるし、当然「あれ」をまんま再現するわけにも行かないだろうなとは思っていました。ちなみに「あれ」とは、長州や土佐の反幕浪士たちの連絡役だった古高俊太郎の拷問の際に、なかなか口を割らない古高に業を煮やした土方が、古高を逆さに吊るし、五寸釘を両足の甲から裏へと突き刺しそこへ百目ロウソクを立て火をつけた・・・という「お誕生日でもないのにそんなことされちゃたまりません(by春風亭小朝)」な手段のこと。
「新選組!」では、やはり業を煮やした土方がヤクザとの付き合いもあった斉藤に知恵を借り、釘とロウソクを用意して土蔵(古高の拷問現場)に入る~間~土方が土蔵から出てくる、と最小限の映像表現でその間の拷問の熾烈さを描きました。なかなか上手くいったんじゃないかと思います。

そしてこの回、藤堂平助が沖田の名を騙り遊んでいたのを近藤に発見されてしまい、叱責を受け、さらに「平助は平助」と励まされて感激するというシーンがありましたが、来週や油小路事件のことを考えると、なんとも切なかったなあ。

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2004/06/29

新選組! #25

新選組!第25回「新選組誕生」06/27O.A.
前半戦を締めくくるビッグ・イベントで、大河ドラマ「新選組!」も折り返し地点をまわりました。おそらくは新選組史のエピソードの中でもベスト3、少なくともベスト5に入ると思われるのが、今回の「芹沢鴨暗殺(粛清)」。新解釈と史実フォロー(八木為三郎が見ていたりとか)の絶妙なマッチングと、雷光がつくりだす光と闇のコントラストの演出とがバッチリ決まり、見応えのある「芹沢鴨暗殺」になったと思います。
という意味では非常に満足しているのですが・・・やはり来週から佐藤浩市と鈴木京香がいないのは寂しいなあ。

で、無事に暗殺も終了(?)したところで、改めてこの「新選組!」での芹沢鴨の魅力、なんですが、ぼくは一言でいえば秘めた「知性」じゃないかと思うんです。もちろんそれは、新見や山南の知性とは別種のもの。そうですねえ、どちらかといえば意外と土方には近いのかも。いわゆる「知識よりも知恵」というやつですね。ただし土方はその知性を、近藤を大きくするため、新選組(壬生浪士組)を大きくするため、と目標設定にブレがないため、目的に対する手段として割り切って存分に使うことができるという面があり、一方、芹沢は浪士組の筆頭局長というトップの座にいながらも、時代の大状況から見れば、自分が小さな小さなお山の大将でしかないという認識を持っていて、またそこから成り上がろうとする行為の愚かしさにも気付いているため、その知性は常に自分を責める方向へと向かいます。そんなの、アタマが良ければ良い分だけツラいに決まっていますから、とりあえずツラさを一瞬でも忘れさせてくれるもの、酒や女、乱暴狼藉へと逃げ込むというわけです。他人に軽蔑されるように仕向けることで、自責の念と相殺させよう・・・ってことなのかな。そういえば誰のだったか、「(大量に)酒を飲むのは、緩やかな自殺なんだ」という言葉が思い出されました。今回、芹沢が近藤に「鬼になれよ」と覚悟を伝え、それを受け止めた近藤が「芹沢さんはもう覚悟を決めている」と土方らにいうシーンがありますが、芹沢の覚悟というのはもう随分と前から、それこそ浪士組に参加する以前、今風にいう思春期のころから決まっていたのかもしれません。「お育ちがいいもんでな」なんて台詞もありましたしねえ。(ちょい余談なんだけど、こういう台詞ってキチンと皮肉として伝わっているんでしょうかね?どうも今の日本では「育ちがいい」ってのを誉め言葉として使ってる人が多いような気がする。例えばあと、スネ夫ママのような「ざーます言葉」なんてのも揶揄の対象なんだけどさあ、「シロガネーゼ」やら「セレブ」やらって乗っかってる連中にはその揶揄がホントにわかってんのかね?)
結局、芹沢の知性は自滅という答えしか導き出しませんでした、とぼくは解釈しています。ここから先、土方の知性が山南の知性が、近藤の純粋さがどういう道を辿るのか(エピソードとしては知っているけど、それが「新選組!」でどう描かれるのかということね)興味はまだまだ尽きません。芹沢の台詞「(新選組という名をみて)悪かねえな」が、単に近藤へのはなむけだったのか、芹沢なりに(自分の存在はそこにはないのだけれども)新選組への可能性を感じたが故の発言だったのか、そしてもしそうならばその可能性は何処へと進むのか・・・。う~ん、筆頭局長芹沢鴨は、一人で、自分の中だけで、新選組という人々の歴史を一足先にシミュレーションとして体験してしまった人ともいえるのかもしれないですね。
芹沢鴨、悪かねえな。

>>今週の新選組! 新選組誕生
>>水川青話
さすがに今回放送後のネットでの「新選組!」感想には力作が多いなあ。この方のも、もちろんぼくとは違う解釈なんですけども、なかなか説得力あります。

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2004/06/23

新選組! #24

新選組! 第24回「避けては通れぬ道」06/20O.A.
新見錦(相島一之)退場でした。#13(鴨の焚き火)辺りのイメージでは、もっと切れ者な感じで、土方をはじめ試衛館チームはもっとこの人に苦しめられるのかと思ったんですが、意外と小競り合いのみで終ったなという気がしています。相島一之がなかなか粘着的でかつクールで知的な新見を演じていたので、かなり印象深い登場人物にはなりましたが、もし他の役者が演じていたらここまで印象に残らなかったのかもしれません。土方と山南の計略にひっかかるというのも、鴨への忠誠心が揺らいでいるところをつかれたとはいえ、清河の陰謀を看破した新見ならば・・・なんだか単純過ぎるような。ただし、それほどまでに「たまに意見のあった」土方と山南のタッグは完璧だ、という風にも考えられますけどね。
もっともその名タッグもまた新見の予言に呪われてしまったかのような末路へと進んでいくことになりますが・・・。

【追記】
そういえば先日、渋谷の路上ですれ違った女性。「あれ?どっかで見かけたような・・・」と思っているうちに通り過ぎてしまたんですが、この「新選組!」の八木ひで役吹石一恵さんでした。もちろんキレイな方だったんですけども、それ以上にドラマでの印象通りの庶民的な感じ(失礼!)。それにしても「あ、どうも」なんて声かけなくて良かったなあ(笑)。

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2004/06/07

新選組! #22

新選組! 第22回「屋根の上の鴨」06/06O.A.
いよいよ、鴨暗殺待ったなし。ですが、そうかその前に来週、もう一つ見せ場がありましたね(鉄扇で槍を払うっつう)。
それにしても沖田ですよ。まさか有名な大和屋焼き打ちに参加するとは思わなかったなあ。目標を見失った運動部員が悪いOBに気に入られていろいろと悪事の片棒担がされている、ってことなんですかね。それにしても今の沖田の目に芹沢はどう映っているんだろう。新見はもちろん、近藤や土方、山南あたりはもうすっかり芹沢を見切っている感があります。永倉、斉藤、井上ら苦労人(?)チームもそろそろ芹沢の器がけっして大きくないことを悟っている風でもありますし。そんで「人からどう見られているか」なんていうところだけ妙にアンテナびんびんにはっている芹沢としては、それらがさらにおもしろくないわけで・・・。嫌な不良中年だよなあ、とっても共感してしまいます(笑)。沖田は両親がいないから芹沢に(架空の)父親像を重ねて見ていて、芹沢はやはり史実(なのか?)通りに亡き弟の面影を沖田に重ね合わせているんですかね?芹沢の弟云々は今のところ話に出てきていないから、やはり芹沢は近藤のまっすぐさとは違う沖田の純粋さに惹かれていると解釈すべきなのか。いずれにしても今回、新見と梅のセリフでも出てきたように「新選組!」での鴨暗殺は近藤一派の「親殺し」として描写されることになりそうです。そして実際に刃をふるう沖田は近藤の思いとうらはらに「人斬りマシーン」として開眼してしまう・・・って、それじゃあんまり殺伐とし過ぎるか。その直後には結核も患わなきゃなんないわけだし、あまりにも沖田に救いがないもんね。沖田にとっても新選組に参加して良かった、というシーンをなにか用意してあげたい気がします、甘いかもしれないけど。

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2004/06/04

新選組! #21

新選組! 第21回「どっこい事件」05/30O.A.
オープニングの配役表示のところ。1話からずっと近藤(香取慎吾)~空け~沖田(藤原竜也)~土方(山本耕史)の順になっていて、新選組のランクでいえば近藤局長~土方副長~沖田副長助勤となるのが自然なため、放送開始時からなにかとネット上などで疑問の声や事情の推察などが挙がっていました。まあ、大方、タレントの所属事務所と大河スタッフサイドとの大人なやりとりの中での決定事項であろうとは察しがつくし、それに別段おどろきもしないので、ぼくは気にしていませんでしたけどね。でもね、前回とか今回とかを見ているとそれは単なる大人な配慮なだけでなく「新選組!」の内容にそくした表示なのかもなあ、と思えてきました。
もちろんこの「新選組!」の主役はまごうことなく近藤勇です。近藤を主役にすることで真っ向から新選組のドラマをつくる、というスタッフの意欲もわかります。しかし「新選組!」での近藤はそのためなのか、「まっすぐである」「正直である」という揺るがない個性を与えられ、物語がどんなに複雑に進んでいったとしても主役ゆえセンターにドンとかまえて動きません、もしくは動くことを許されません。となると一方で幕末期の青春ドラマでもある「新選組!」での若さからの迷いだったりとか間違いだったりとか、そういった側面を描くのに近藤勇はあまり適した人物であると思えなくなりますよね。まあ、そのために浪士組以前の試衛館時代のエピソード(まだドンとかまえる前の近藤勇)を1クール使って放送したんでしょうけども、この先もずっと物語は続くわけですから「青春」担当のキャラクターが近藤以外に必要になってきます。
そこでそうなんです、それが沖田総司であり、ここから先の「新選組!」は新選組の物語であると同時に沖田総司なる若者のグローイング・アップものの青春ドラマにもなるんじゃないのかなあ、と思うわけですよ。京に着いて以来、鴨に絡まれ、梅にもてあそばれ、新たにできた友人はいなくなり(!)、なんだかよくわからないうちに人を斬って自分の存在感を確認してみたら、なぜか(と沖田は思っているでしょう)師である近藤に激しく怒られたりと受難続きの沖田ですが、このあとそんなこと全部吹きとんじゃうくらいの災難が待っていたりもするわけで、その中で藤原・沖田はどんな青春の日々を過ごしどんな成長をとげるのでしょうか。そんな沖田総司の物語としての観点からも充分にこの「新選組!」は期待できると思います。

あとかなり余談なんですけども、今の時期、「新選組!」も、浅田次郎の新刊「輪違屋糸里」も、ヤングサンデー連載の「月明星稀―さよなら新選組―」も、どれもが似た辺りのエピソード(浪士組結成~鴨暗殺)を描いていて、しかも当然ながらストーリーもキャラも同じ題材を扱いつつ微妙に違う味付けがしてあるため、なんとなくアタマの中でごっちゃになっちゃうんですよねえ。おれだけ?

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2004/05/20

新選組! #19

新選組! 第19回「通夜の日に」05/16O.A.
新選組もののクライマックスといえば、まず池田屋事件。次に芹沢鴨暗殺で、鳥羽伏見での敗退、五稜郭辺りがそれに続くって感じかな。もちろんこの「新選組!」でもそこらは大いに盛り上がるとは思いますが(五稜郭はエピローグあつかいみたいだけど)、ここまで見てきてぼくがなんとなく予想するのは御陵衛士(高台寺党)の新選組離脱~油小路事件が、この「新選組!」としてのクライマックスなんじゃないかということ。この時期には坂本竜馬暗殺もあるし、近藤勇の立身出世ストーリーとしてはある意味「上がり」ともいうべき幕府直参になるという出来事もあります。「新選組!」でつみ重ねてきた要素がここで大きく一つの結末をむかえる気がするんですよねえ。
まず近藤の「武士への憧れ」はここで本格的に実現するわけですし、近藤と竜馬の奇妙な友情ストーリーもここで竜馬暗殺、しかも近藤と新選組が犯人として疑われる(史実でも各種創作ものでも新選組実行犯説はほとんどないので、おそらく「新選組!」でも竜馬暗殺は新選組ではないでしょう)というドロドロの展開で打ち切られます。そして壬生浪士組結成時に粕谷新五郎が懸念していた組織内での仲間割れ、裏切り、粛清の歴史も油小路事件がその集大成となるわけですからね。さらに少しづつ積み上げているものの中には、藤堂平助(御陵衛士に参加)の「この人のためなら死んでもいいと思える人が2人いる(近藤と伊藤甲子太郎のこと)」というセリフや、斉藤一(御陵衛士に新選組のスパイとして参加)がだんだんと近藤勇、新選組に惹かれていく描写、山南敬助(御陵衛士結成以前に脱走、切腹)の発言がしばしば他の仲間から浮いていたりとかがあります。
かなり陰惨な事件でもあるこの御陵衛士~油小路事件を、幕末青春ドラマ「新選組!」で、どんな風に映像化することになるんでしょうか。そこで「新選組!」の本領を発揮してもらいたいもんですなあ。